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《学会報告》ESMO 2018 congress(小林 和真)

平成30年10月19日(金)~10月23日(木)、ドイツのミュンヘンにてESMO 2018 congressが開催されました。以下は参加された小林和真先生からの報告です。


2018/10/21 (日):
Poster display session: Basic science, Endocrine tumours, Gastrointestinal tumours - colorectal & non-colorectal, Head and neck cancer (excluding thyroid), Melanoma and other skin tumours, Neuroendocrine tumours, Thyroid cancer, Tumour biology & pathology
Gastrointestinal tumours, non-colorectal
670P - Phase II study of S-1 and Oxaliplatin as neo-adjuvant chemotherapy for locally advanced gastric and esophago-gastric cancer (KSCC1601)

<全体の感想>
 まず、はじめに、私の代わりに癌治療学会で発表してくださった、哲翁先生と金高先生にあつく御礼申し上げます。お二人のおかげでESMOに行くことができました。
特に金高准教授には二つの発表、しかも、一つは大炎上必至のネタを押しつけてしまい、誠に申し訳ありませんでした(金高先生のブログを見ると2本とも炎上?)。
 また、もう一人留守を守ってくださった岡田先生にも感謝します。
 さて、今年のESMOはドイツのミュンヘンで10月19日〜10月23日の5日間の期間で開催されました(以前は3日間ぐらいだったと思います)。
 こちらは、ほぼ晩秋から初冬という感じでトレンチコートが必要でした。
 開催地はMesse Munichで、大変きれい大きな会場でした。会場前には大きな池や噴水もあり、野鳥が集まっていました。


ミュンヘン①

ミュンヘン②

会場をちょっと離れる、あるいは町中に出ると喫煙者が目立ちました。タバコの自動販売機もあり、喫煙には寛容な感じでした。タバコ好きの方には働きやすいかも知れません(笑)。

ミュンヘン③

私は郊外のRaeter Park Hotelに泊まりました。
初日はバスタブもない、透明アクリル板二枚で作られたシャワールームしかない部屋で、当然、水は漏れまくりでした。ぼろいホテルにも泊まったことはありますが、バスタブのないホテルは初めてで目が点になりそうでした.
翌日に交渉すると、すぐいい部屋に替えてくれました。食事は朝夕ともおいしく、何と会場まで直通バスで行くことができました。ドイツの交通機関は日本並みに分まで正確です。日本での団地の様なところで、田園風景もあり、いつもは学会場とホテルの往復ばかりで、地元の人の生活を見ることもなかったので、市井のドイツ人の生活を見ながら、学会に通えて良い感じでした。 

ミュンヘン④

ミュンヘン⑤

因みにESMOの参加証には、バス・地下鉄・路面電車などの交通機関の学会期間中フリーパスの権利がついていて、これも大変便利でした。
 さて、学会本体に戻りましょうか。
 ASCOに発表後の投稿も認められているせいか、既に結果が知られているものも多いようです。
胃癌のsalvage lineのTAG3試験でTFTDがプラセボに対して有意差を持ってOSを延ばしたことが発表されました。日本も参加してのRCTなので、日本でも比較的早く承認されると思います(写真はTAG3についてのコメントの場面です)。

ミュンヘン⑥

胆道癌のKHBO1401-MITSUBA試験でGCS(GEM+CDDP+S-1)がGCに有意にOSを延長した結果が報告されていました。ただしRRがGCSで30%も高いにも関わらず、ΔMSTが0.9ヶ月であり、survival benefitはmodestとのことでした。conversionはGCSで123例中3例、GCでは123例で0例と、肝胆膵は大腸癌の様に簡単ではないことも浮き彫りになりました。
 また、前回のESCAP-1でもそうでしたが、日本人以外ならどうなるか?と、日本の試験で良い結果が出ると、上から目線というか人種差別的?なコメントがあったのはいただけませんでした。

 いわゆるplenary sessionというのは無く、最終日に臓器別にHighlightを集めた、Best of ESMOという、まとめのセッションがあり、各臓器20分ぐらいで講演があります。「乳癌・肺癌を含む1」と「消化器・婦人科を含む2」の2つの会場に分かれて、9時から13時まで講演があっていました。何となく日本臨床腫瘍学会の教育セミナーのような感じで、見られなかったセッションの補完や、まとめに役立ちます。
 5日間フルで見させていただいき、大変勉強になりました。
来年はスペインのバルセロナで9月27日から10月1日です。
 幸い、今年と違って癌治とはダブっていません。

さて、私のセッションは胃癌のポスターセッションで、胃癌のNACのKSCC1601のprimary endpoint(組織学的奏効率)の結果が出たことで、急遽の発表となりました。

ミュンヘン⑦

<会場からの質問>  
問い) median PFSはどのぐらいですか?
回答)(1年無再発生存率を67.9%と出ていたので質問された様ですが、)まだcensored caseが多く、medianには達していません。今後の経過観察がまだまだ必要です。
 質問をしてくれたのは中国の研究者で、中国でもSOXがよく使われるようになっていることと、今後の経過に期待すると言われました。
 あと、静岡県立静岡がんセンターの寺島雅典先生から、病理学的奏功のgrade3が10%以上は欲しかった。FLOT (DOC+OX+5-FU/LV) に勝てなくて残念とのコメントがありました。
 また、隣はOSSGという臨床試験グループのCapeOXによるNACの検討が出ており、病理学的奏功は59%ぐらいで類似していましたが、KSCCとは異なり、審査腹腔鏡での選別をしていないためか、stage IV症例が2例ありました。
 2010年のESMOでも胃癌ネタでポスターを出しましたが、この時も質問はインドと韓国の2人だけでしたが、今回も中国や日本人研究者のみで、胃癌はやはり東南アジアのlocal diseaseなのかなあという感じでした(oralやLBAだと別なのでしょうが)。