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《学会報告》第56回日本癌治療学会(久芳 さやか)

平成30年10月18日(木)~10月20日(土)、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて第56回日本癌治療学会が開催されました。以下は参加された久芳さやか先生からの報告です。


全体の感想:今年はESMOと重なったせいか、演題取り消しが目立って残念でした(乳腺基礎セッションでは7人中、2人の海外演者の発表なし)。
妊娠期癌治療のシンポジウムで演者の先生が、妊娠中禁忌(データがないため)の薬を使用した、という発表をしてしまい、会場から強い反対意見が出ていました。その演者の先生の意見は、“自分はその治療をあまり勧めていないが、患者が希望したから。妊娠中だからと言って、データがないからといって治療の選択肢を狭めるわけにはいかない”、とのこと。なんじゃそりゃ…。患者に責任を押し付けたよ。。。主治医も患者も納得いくまで話し合わなきゃ。。。と思っていたら、腫瘍内科の北野敦子先生がバシッと、“主治医の主観、患者の思いで治療を決めてはいけない。とかく癌治療医は癌を治すことだけを考えがち。そうではなくて、癌治療には様々な選択肢があり、今あるエビデンスの中で、包括的なことを考えて治療を決めるべきである。妊娠期でも使用できる別の治療の選択肢はあり、児の長期予後は非常に考慮すべき大事なことです。”と言われました。若いのにさすがです。
HBOCのセッションも座長が戸井先生と中村清吾先生、演者が三木先生、山内英子先生、高田正泰先生で、期待通りの内容で非常に勉強になりました。特に遺伝性乳癌は乳癌の10%で、HBOCはこの50%でしかなく、残りの50%はHBOCの検査のみでは漏れてしまい(リンチ症候群やリフラウメニ症候群などなど)、遺伝子パネル検査が必要である。すでに遺伝子パネル検査も複数の会社が販売していて、数年後には必須になって、問題は対象をどこまでにするか、ということ。遺伝性乳癌に関する遺伝子パネルは、その結果に対してすべきことがNCCNガイドラインに規定されているのでclinical utilityが担保されているので、臨床側としてもとても有難く、患者さんに大きなメリットをもたらすと思いました。

ポスターセッション
Prognosis according to subtypes and symptoms for advanced breast cancer.
内容:転移性乳癌を、有症状と無症状に分けて、最初の乳癌からの予後・転移してからの予後・転移してからのホルモン療法の期間・転移してからの化学療法の期間を検討しました。既報通り、有症状では(発見が遅いので)転移してからの予後は無症状で見つかった症例に比べ生存期間は短いが、最初の乳癌からの予後は変わらない(だから転移性病変を早期に見つけても生存期間は伸びない)
さらに、転移してからの治療期間は、ホルモン療法は両群に差がないが、化学療法は有意に無症候性で見つかったほうが長い。転移性乳癌を無症状で見つけてしまうと、最初の乳癌からの生存期間を延長させない上に、化学療法の期間が長いという皮肉な結果でした。
金高先生が応援に来てくれました。有難うございます!!座長は中村清吾先生で、どの演題にもこういうエビデンスがある・今こんな試験が進行しているなど示唆に富むreviewをされていました。私の発表には、これはHortobagyiのアルゴリズムにそった治療戦略で、CDK4/6 inhibitorやm-TOR阻害剤が出る前のことで、今後は新たなアルゴリズムが必要で、その際このような解析を重ねていく必要がありますね、と言っていただきました。