FC2ブログ

《学会報告》第27回日本形成外科学会基礎学術集会(高槻 光寿)

平成30年10月18日(木)~10月19日(金)、東京都新宿区の京王プラザホテルにて第27回日本形成外科学会基礎学術集会が開催されました。以下は参加された高槻光寿先生からの報告です。


『他流試合』ではありませんが、昨年の「第25回日本胎盤学会学術集会」で羊膜を用いたリサーチの講演をさせていただいたのに続き、本年は東京の京王プラザホテルで開催された「第27回日本形成外科学会基礎学術集会」にお招きいただき、講演させていただく機会を得ました。会長は日本大学形成外科学の仲沢弘明教授で、重症熱傷の治療などでご高名な先生であります。私が発表したのはシンポジウム1「細胞シート:未知への挑戦‐まだ見ぬ世界へ‐」という壮大なタイトルのセッションで、当科で今までに行ってきた細胞シートのリサーチのうち、食道・肝・膵島に関する消化器外科領域のお話をさせていただきました。
私以外は東海大学整形外科(関節軟骨)、大阪大学心臓血管外科(心シート)、東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科(自己鼻腔細胞シートを中耳へ)、日本大学眼科(角膜上皮)、が形成外科以外の領域を担当され、あとは形成外科の先生方が2009年より保険収載されている培養表皮細胞シート関連のお話をされました。驚いたのは、今回発表された消化器外科以外の領域のほとんどが臨床応用されており、やはり複雑な臓器機能の代替や救命を目指す我々の領域の難しさを再認識致しました。いずれにしろ一つのテーマが色んな角度からディスカッションされ、私も大変勉強になりました。
今回お声掛けいただきました仲沢教授には、この場を借りて深く感謝申し上げます。

Q:食道ESD後の狭窄予防について、シートの細胞源は口腔のどこから採取したものか?口腔粘膜上皮細胞のシート、ということでよいのか?
A:そのとおりである。頬部内腔の採取しやすい部位から局所麻酔下に取っている。
Q:足場としての細胞シートについて、肝では線維芽細胞を用い、膵島ではMSCを使用していたが、選択はどうしているのか?
A:それについては、膵島のリサーチ時に様々な細胞源で検討してみた。線維芽細胞、筋芽細胞、ADSC等で比較し、ADSCがgrowth factorの分泌で有利かと思われたが有意差はなかった。細胞シートは様々な細胞で作製可能なので、今回大阪大学から報告されたiPS細胞シートなども非常に興味深い。今後も色々と試行錯誤していきたい。
<総合討論>
Q:臨床応用へのハードルや大変な点は?
A:我々は臨床まで行っているのは食道のみで、これは東京女子医大との共同研究で企業治験が終了し、期限・条件付き早期承認を目指している段階である。他の臓器については、最終的には同種組織を用いることが目標となるので新法下ではハードルが高いが、臓器移植を並行して行いつつ少しずつでも進められればと思っている。
Q:今後の展望は?
A:究極的には臓器機能全てを代替する再生医療、が目標だがまだ難しい。近い将来の目標として、例えば肝の凝固因子を産生する機能のみを期待して血友病患者に対して肝細胞シートを皮下移植したり、十二指腸ESD後の穿孔予防としての細胞シート貼付などの研究を継続しているところである。


高槻先生