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《学会報告》TTS2018 (釘山 統太)

Session: Campfire Session -Liver Living Donor-
Presentation: The Efficacy of an Artificial Pancreas Device for Achieving Tight Perioperative Glycemic Control in Living Donor Liver Transplantation

 スペインのマドリードで行われた第27回国際移植学会(27th International Congress of The Transplantation Society)に参加してきました。
 私が発表したCampfire Sessionは座長が1名、演者が5名で構成され、1つの演題に対し演者が5分間の発表を行ったのち、全員で5分間のdiscussionをする、これを順番に回していくという、まさにキャンプファイヤーを囲んで語らうような形式で行われました。私の発表内容が人工膵臓というあまり馴染みのない機器を用いた生体肝移植術における血糖コントロールに関する発表であったので、素朴な疑問から鋭い指摘まで様々な質問をいただき、研究デザインの改善点や今後の課題が明らかとなった良い機会でした。
 学会の合間に江口教授やRiccardo先生と一緒にマドリード市内を散策し、ソフィア王妃芸術センターでピカソの”ゲルニカ”を鑑賞できた事や、スペイン料理をいただきながらW杯サッカーの日本対ベルギー戦をTV観戦した事も良い思い出になりました。
 今後も国内学会だけではなく、国際学会での発表を見据えて、日々の臨床や研究に励んでいかなければならないなと痛感しました。今回、このような機会をいただき、また御指導いただいた先生方に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。


・人工膵臓を使用するのにかかるコストはどれくらい?
 →回路、グルコールセンサー等の消耗品が1日当たり22,000円程度
・手術開始から24時間の使用で本当に効果があるか?
→今回の発表に用いたデータからは、人工膵臓により厳密な血糖コントロールを安全に継続する事ができ、術後感染症の発症予防に寄与している事が示唆されたが、24時間という時間が適正かどうかは今後の症例の蓄積が必要と考える。また、コストと保険の問題があり、その使用には限界がある。
・日本では人工膵臓の使用が保険適用になるのか?
 →本研究を始めた段階では保険適用外であったが、2018年4月以降は術中から3日目までに限り保険適用となった。
・対照群(スライディングスケール群)でも血糖コントロールは比較的安定しているように見えるが、従来の麻酔管理で問題ないのでは?
 →今回の対照群には、糖尿病を基礎疾患に持つ症例が含まれていなかった。対照群の症例数を増やす、もしくはプロペンシティスコアでマッチングさせる等の工夫が必要であったかもしれない。