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≪学会発表報告≫ 第6回肝臓内視鏡外科研究会

平成24年11月28日(水)、京王プラザホテル(新宿)にて、第6回肝臓内視鏡外科研究会が行われました。
下記は、参加された虎島先生、曽山先生からの発表報告です。


【虎島 泰洋】
日時:平成24年11月28日(水)8:30~9:30
セッション名:一般演題 Session1 
演題名:上腹部正中切開アプローチによる系統的ハイブリッドS5亜区域切除

<全体の感想>
肝臓に対する鏡視下切除は徐々に普及しつつあるが、未だ標準的な術式はなく、各施設が様々な工夫をしながら取り組んでいた。完全鏡視下手術と比較し、今回発表したハイブリッド手術は侵襲性、安全性の面からも標準術式として十分に合理性のあるものという印象であった。

<会場からの質問>
Q:肝臓が硬い症例ではHALS手技が困難と思うが、そういった症例は除外しているのか。
A:F3の症例においても問題なくできており、レシピエントの肝全摘症例にも適応し、行えている。

Q:HALS操作中に手と鉗子等がファイティングしてしにくいのではないか。完全鏡視下の方がいいと思うが。
A:まず当科では完全鏡視下手術の適応を限っている。HALS操作中は体格や癒着によってはファイティングすることもあるが、脱転操作においては特に問題なく完遂できている。

Q:発表ではハイブリッド手術は全てに適応がありそうだが、その割合は。
A:癒着症例など適応除外としているが、ほとんどの症例でハイブリッド手術が適応できている。

【曽山 明彦】
日時:平成24年11月28日(水)9:30~10:30
セッション名:一般演題 Session3 
演題名:上腹部正中切開アプローチによるハイブリッド肝後区域、S6、S7切除

<全体の感想>
ここ数年で、腹腔鏡下肝切除施行数は飛躍的に増加していると思われる。部分切除や外側区域は保険適応となっているわけであるが、その他の系統的肝切除に関しては、ハイブリッド、完全腹腔鏡下、Hand-assisted と各施設でその適応を決定しているというところであり、特別講演のGeller教授の講演を聞いても、各々の手技特有の利点・弱点を考慮して、適応を決定していくことが重要であると思われた。
現在までに、当科のハイブリッド肝切除(上腹部正中切開、HALS肝受動、直視下肝実質切離)について発表してくる中で、「後区域の病変はやりにくいのではないですか?」という質問を受けることがあった。そこで今回は「ハイブリッド法による後区域切除、S6,S7亜区域切除に焦点を絞って発表した。
研究会の主題が「腹腔鏡肝切除における肝門部処理」ということもあり、Pure Laparoscopic procedureによる肝切除の発表が、多くなってきた印象であるが、当科から発表した、腹腔鏡、従来の開腹手技の各々の利点を利用した、ハイブリッド肝切除による安全で精緻(開腹と同様のクオリティ)な系統的切除の有用性というものをあらためて理解していただけたのではないかと思っている。

<会場からの質問>
Q:胃切除後などで肝左側の癒着が強い症例等で、肝の脱転がしにくいというようなことは無いのか?そのような症例はどれぐらい癒着剥離を行うのか?
A:上腹部手術歴があり、高度な癒着が存在する症例では、もとより従来開腹法を行う事もある。左側の癒着により肝脱転がしづらいという症例に遭遇したことはないが、そのような症例であっても、上腹部正中切開創から直視下に剥離することで対応可能と思われる。

Q:オムニトラクトが有用であることを示していたようであるが、ケント鈎などとの違いは?
A:ケント鈎は、上外側方向への牽引となるが、オムニトラクトではあらゆる方向へ、創を展開することができる。また創の展開だけでなく、腸管の圧排などが可能であるので、良好な術野の確保、維持に有用であると思われる。