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《学会報告》第26回日本門脈圧亢進症学会総会(高槻 光寿)

令和元年9月12日(木)~13日(金)、山口県下関市、海峡メッセ下関にて第26回日本門脈圧亢進症学会総会が開催されました。以下は参加された高槻光寿先生からの報告です。


第26回日本門脈圧亢進症学会総会に参加してきました。長崎大学移植・消化器外科でのデータを発表しましたので報告させていただきます。今回は山口大学消化器内科の坂井田功教授が会長を務められ、下関での開催で、沖縄からは福岡経由でJR移動でした。会場の海峡メッセ下関は先鋭的な建物で、併設されている高さ153mの「海峡ゆめタワー」展望台からの眺めは素晴らしいそうです。登ってませんけど。
今回私は、以前から報告している生体肝移植における側副血行路処理の方針について最新データを提示致しました。末期肝不全では種々の程度で門脈圧亢進症に伴う側副血行路がみられるわけですが、手術中に処理すべきか否かは明らかな基準がありません。我々は術前の画像精査によるBRTOの可否と術中の門脈血流によって処理するか否かを決めており、明らかに側副血行路が発達している症例でも約2/3の症例は閉鎖せずに経過観察し、術後肝性脳症などの症状が出現した時点でBRTOにより治療する方針としています。術中に閉鎖せずとも90%の症例は問題なく経過し、肝性脳症などの症状が出現した症例も全例BRTOで治療可能でした。東京大の赤松先生も概ね同じ方針と報告されていましたが、京都大は原則として全て閉鎖する、とのことでした。まだまだ議論は尽きないようですが、我々の方針はバランスを考慮した有用な基準であると思っています。
Q:側副血行路はどのレベルで処理しているのか?処理した血管は長期的にも閉鎖されているのか?
A:術前精査でターゲットとなる血管は決まっており、術中にそれと認識されるものを、処理しやすいレベルで閉鎖している。特に大循環の近傍で、などは意識していないし、ちゃんと門脈血流を確認して行っているので問題ないと思っている。結紮した血管は長期にわたり閉鎖されている。

《学会報告》A-PHPBA 2019(夏田 孔史)

令和元年9月4日(水)~7日(土)、韓国ソウル、COEXにてA-PHPBA 2019が開催されました。以下は参加された夏田孔史先生からの報告です。


セッション名:Poster Presentation (Transplant)
演題名:Outcome of a tailored Rituximab-based desensitization protocol without local infusion therapy for ABO-incompatible adult living donor liver transplantation

<全体の感想>
韓国、ソウルで開催されたA-PHPBAに参加してまいりました。韓国留学でお世話になったSeoul National University Hospitalが主催でした。テレビで見るような反日感情は全然感じず、相変わらず皆さん親切でした。ただ予定よりも早く帰国することになったため皆さんとゆっくりお話しできなかったのが心残りでした。Opening ceremonyでは出席者全員に3D用のゴーグルが配られるというお金のかけようで、韓国の勢いを感じました。
 
<会場からの質問>
Q:RTxの投与は2-3週前とのことだが緊急症例については?
A:移植前に十分な期間を得られなかった症例に対しては脾摘やIVIGを付加して対応している。動注療法は行っていない。

Q:韓国のレジメンと帰国後の長崎でのレジメンを比べてRTxの投与量についてはどう感じるか?
A:日本の大半の施設は長崎と同じ375mg/BSAに対してSNUHでは300mg/BSAとやや少なめだが、免疫抑制は十分にできているように感じた。
(ただ不適合以外の全体的な免疫抑制は韓国の方が強い印象があり、恐らくレシピエントの術前状態やグラフト容量が韓国の方が条件がよいためと思います。単純な比較は難しいと思います)

《学会報告》第52回 日本胸部外科学会九州地方会総会(砂河 由理子)

令和元年8月29日(木)~30日(金)、宮崎県宮崎市、宮崎観光ホテルにて第52回 日本胸部外科学会九州地方会総会が開催されました。以下は参加された砂河由理子先生からの報告です。


症例報告:二次性AEFに対し胸腔鏡下食道切除が有効であった症例

8月29日16時20分、長崎を出発し、宮崎に向かいました。かごめが大雨の影響で、佐賀で止まってしまいいくら待っても動かなかったため、どうにか宮崎入りするために佐賀から新鳥栖までタクシーで向かい新幹線と高速バスで0時11分に宮崎に着くことができました。駅員さんの話では2時間佐賀に止まっていたそうです。宮崎到着後、駆け込みで空いているお店に入り、地鶏を堪能して、翌日の発表に備えました。私の発表は、8月30日9時からのCase report awardのsessionでした。大動脈食道瘻の治療は、食道切除、大動脈置換、大網被覆を要しますが、その食道切除のアプローチ法を工夫することにより侵襲や手術の受け渡しがスムーズになるという内容を発表しました。大動脈食道瘻の術中所見、再建方法、出血時の対応に関しての質問を頂きました。今回、私を含めて3症例がこのsessionに応募しておりましたが、幸いにも最優秀賞を受賞することができました。スライド作成時のご指導および、予行において、わかりやすくなるようにご指摘して頂いたおかげだと思っております。また、心臓血管外科江石教授、松丸先生、三浦先生、丁寧に疑問に対しお答え頂きありがとうございました。ご指導頂いた先生方に感謝いたします。
今回の学会では、どこまで手術で攻めていくかという内容から、認知症症例の手術適応など、日常診療に繋がる内容が多く考えさせられました。
教育講演は、がん研有明病院の渡邊雅之先生のご講演で、食道癌のリンパ転移の傾向から、今後の食道癌診療に必ず必要であるチーム医療についてなどこれもまた、興味深い内容で勉強させていただきました。今後腺癌が増えるということ、鎖骨上リンパ節郭清の意義については今後の結果が楽しみです。
学会に合わせて開催された、食道疾患検討会にも出席できました。食道疾患検討会は、食道疾患症例集に載っているような苦労した症例を検討する会です(続編には当科の症例も掲載しております)。毎回多岐に渡る症例があり、稀な症例から早期胃癌を合併した進行食道癌や、治療に行き詰まっているが治療継続を希望する若年の食道癌症例など、日常診療で方針に迷うであろう症例を検討します。自身が診療した場合どうするかと考えながら経験豊富な先生方の討論を聞けて、非常に有意義な時間を過ごせました。当科からは、胃全摘後、下行大動脈置換後、胸腹部大動脈瘤の症例に関して川口先生が症例提示しております。初回手術の方針、急変時の対応につき多々ご意見頂きました。今後の診療に役立てたいと思います。
今回、参加できて本当に良かったと思っております。学会に参加する機会を与えてくださりありがとうございました。

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《学会報告》第46回 日本膵切研究会(岡田 怜美)

令和元年8月23日(金)~24日(土)、岐阜県下呂市、下呂温泉水明館にて第46回 日本膵切研究会が開催されました。以下は参加された岡田怜美先生からの報告です。


セッション名:ポスターセッション R0手術
演題名:当科における膵癌術後5年生存例の検討

<全体の感想>
岐阜県下呂市にて開催された日本膵切研究会に参加しました。膵切研究会への参加は初めてでしたが、手術手技や工夫、合併症など細かなテーマにわかれており、熱いディスカッションがなされており、活気ある学会でした。日本三名泉のひとつである下呂温泉での開催でもあり、浴衣姿での参加もみられました。発表後は下呂温泉街を散策し、名泉でゆっくりとした時間を過ごすこともできました。

<会場からの質問>
Q:術前、術中、術後因子での長期予後予測因子を検出しているが、全体での予後予測因子はどうなるのか?
A:今回は全体での検討は行っていない。今後検討したいと思う。

Q:非生存群の再発率は80%であるが、残りの20%の死因は?
A:癌死以外の他病死となっている。

Q:長期生存例には若年者が多いようであるが、年齢の検討はどうか?
A:本検討では年齢のカットオフを70歳として検討したが、明らかな有意差は得られなかった。今後さらに細かにカットオフを設定すると、年齢での有意差がでる可能性があり、検討したいと思う。

Q:予後予測因子でCEA値が有意差がでている。一般的にCA19-9値が予後に影響すると思うがどうか?
A:本検討ではCA19-9値では有意差は得られなかった。母集団が少ない影響もあると考えられるので、さらに症例を蓄積したいと思う。

《学会報告》第46回 日本膵切研究会(大野 慎一郎)

令和元年8月23日(金)~24日(土)、岐阜県下呂市、下呂温泉水明館にて第46回 日本膵切研究会が開催されました。以下は参加された大野慎一郎先生からの報告です。


ポスター4 P4-3 腹腔鏡下膵切除術 
演題名:腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術における安全性の検討

全体感想
昨年も感じたのだが、同学会は膵癌治療における問題点、将来の展望を発表時間に依らず、大いに議論する素晴らしい学会だと今年も感じた。個人的には一番勉強になる学会なのではないかと思う。3大名泉の一つ、下呂に関しては大きな温泉街を想像していたが、意外にもこじんまりしていて驚いた。

質疑応答
①少しずつ術式を変えながら定型化を行っていると思うが、どのような点を変更してきているか。
 一番新しい改変は胃を切離してから十二指腸授動を行っていたが、Henleの処理を行い、その層からKocherに移行するように変更した。

②体格の大きい患者では小切開からの胆管空腸吻合は困難ではないか。
 御指摘のように体格の大きな方では視野が取りづらいことがある。将来のDavinci導入を考えると膵空腸吻合も含めて完全鏡視下への移行を視野にはいれている。