《学会報告》第110回日本消化器病学会九州支部例会(福本 将之)

平成29年11月17日(金)~18日(土)、沖縄県那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハにて第110回日本消化器病学会九州支部例会が開催されました。以下は参加された福本将之先生からの報告です。


日本消化器病学会九州支部例会に参加して
長崎大学病院 移植・消化器外科 修練医 福本 将之
今回、2017/11/17、肝疾患に関して口演発表をさせていただきました。準備に当たって、ご指導ご鞭撻いただきました医局スタッフの皆様方、誠にありがとうございました。特に、指導医の曽山明彦先生には、患者さんの入院中の臨床から、今回の発表に繰り返し添削をしていただき、最後まで細かいご指導をいただき、感謝申し上げます。

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修練医になっての初発表

今回参加した日本消化器病学会九州支部例会では、前回参加させていただいたACS(Amrican college of surgery)と違い、プログラムから、発表まで全て日本語であったために、興味のある分野や実際に似た症例を経験したもの、研修医セッションなど欲張って参加することができ、大変勉強になりました。1日のうち、聞きたい内容や知り合いの発表スケジュールをチェックしてそれに合わせて動くと思った以上に時間がなく、学会が忙しくなり充実させることができました。

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↑大浜第一病院大腸肛門外科仕垣幸太郎にお近付き。

多くの先生方の発表を聞かせていただき、実際、各々の症例を深く掘り下げて症例に対してどう対策を立て、どう次の臨床に活かすかを論理的に簡潔に発表されるので、今後自分の臨床にも活かせるようにしたいと思いました。自分の発表としては、もっと前もって準備を始め、症例をもっと深く掘り下げることで、発表と質疑応答の際にエビデンスに自分なりの考えを加えて伝えられるようになるのではないかと反省が残りました。

最後に、今回、ご指導にしていただくにあたって上級医からの指導を遵守できなかった反省点を繰り返さないようにして、日々の臨床でやるべきことを1つ1つ確実にやって、学会などにも積極的に参加できるように準備しておきたいと思いました。
写真をいくつか紹介して私の学会参加報告とします。

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あぐーのとんかつ

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主に沖縄で自分のマネージメントをしてくれた同期の吉野恭平先生。

福本 将之 (記)

《抄読会》日髙 匡章

抄読会 2017/11/16 日高
Remote Ischemic Preconditioning の効果(老年マウスと臨床(脳死肝移植、肝切除))

Ischemic precondition 目的臓器に間欠的な虚血状態を与えることで、さらに強い虚血-再灌流傷害を軽減させる目的で、行われている。肝臓では、ドナー肝切除におけるプリングル阻血が、そのよい例である。
今回、類洞細胞、特に肝内のクッパー細胞に着目して、色々調べていたところ、このAnn Surgの論文を見つけました。で、Remoteって、何?という疑問がわいて、調べ始めました。
Remote ischemic とは、腕や足をマンシェットなどで間欠的に阻血にすることで、低分子低酸素因子を放出して、それが、細胞のシグナルを活性化、ミトコンドリアのATP依存カリウムチャンネルを開放する。好中球からの炎症サイトカインの発現を低下させ、心臓のみならず、脳、腎臓、肝臓、肺の虚血-再灌流傷害を保護する、と言われている。

 Clavien分類の施設(スイス)からの報告です。彼らは、2014年にRIPCが血小板から産生されるセロトニン放出につながり、これがIL10 MMP8 アップレギュレートするVegf分泌を促すという結果をHepatologyへ掲載しています。
高齢肝におけるRIPCが通常のIPCと比べて肝保護効果について、どれくらい有用か検証しています。
 20-24か月(2年前後)の老年マウスを用いています。
70%肝阻血、7つの群に分けている。
IPC15分1回、5分3回後、60分阻血、開放して6時間後採血、IC(intermittent clamping)、RIPC群
 結果:
Fig 2A AST ALTに関して、IPCはコントロールと差がなく、有効性がなかった。
Fig 2B 壊死範囲についてもIPC差はなく、IC, RIPCが有効
Fig 2C HMGB1も壊死した細胞から放出されるマーカー IPCでは下がらない。
RIPCが一番老年マウスの細胞障害、肝保護につながった。
Fig 3 以前セロトニン、Vegf IL10 MMP8のシグナル軸の刺激がRIPCによる保護効果と報告した。老年マウスでどうか?とクッパー細胞の機能M1(炎症性)、M2(抗炎症)の評価を行った。
Fig 3A-C IPCに比べて、RIPC セロトニン, Vegf分泌を上昇、HMGB1を減少させた。
IPCはセロトニン、Vegfはシャムと比べて上昇したが、HMGB1を減少させられなかった。
Fig 3D RIPCはM1の遺伝子発現を減少させた。また、M2の発現は上昇させた。
IPCもM2を刺激しているが、RIPCほどではなかった。
Vegfメディエーター
4A 血清Vegf RIPCで上昇していたが、ブロックするとそれが下がった。またHMGB1もVegfをブロックすると細胞壊死マーカーが上昇した。クッパー細胞に関して、炎症性M1はVegfブロックにて上昇、抗炎症のM2は減少した。
Fig4B 虚血-再灌流傷害について、AST ALT 壊死範囲 HMGB1についてVegfをブロックするとこれまで得られていた効果がすべて減弱した。
Sinusoid変化
Fig 5 電子顕微鏡で老年の類洞上皮がシャム群(60分虚血)ではシュードキャピライゼーションを認めたが、RIPCでは、それが改善した。

No2
脳死肝移植でのRIPCの効果は?
イギリス2施設 Royal free Hospital
51例登録 コントロール20例、RIPC 20例 
左下肢、開腹前に20分 200mmHg圧で5分虚血、5分開放、これを3回行う。
肝移植は通常通り 除外は、再肝移植、小児、非常に悪い症例
・プライマリーエンドポイント:RIPC feasibility, safety
背景は差がない(レシ、ドナー)
RIPCは、問題なく施行出来て、肝移植後の下肢の阻血や血種形成など認めなかった。
・セカンダリーエンドポイント
 90日グラフト、生存率:両群間に差を認めない。
 合併症:Table 5 差は認めない
 グラフト機能:すべて載せてませんが、ビリルビンは差がない。RIPC群でASTが術後3日目若干高値だが、有意差はない。ALT ALPも差がない。
 急性拒絶:コントロールで拒絶1例、RIPCなし。
 ICU滞在、入院期間: 4日と3日差なし。20日と16日差なし
下肢の動脈酸素化も見ているが、これは差があり 同時に橈骨動脈の酸素化は差なし。
Fig 5 サイトカイン比較(24時間後) IL6のみRIPC群で有意に低下していた。

肝葉切除でのRIPC効果は?
 ロンドンのRoyal free hospital(肝移植のトライアルと同じ施設)
2005-2007年 大腸癌肝転移 葉切除のみ
22例登録(除外基準 末梢血管病変 下肢感染 重症合併症 コントロールできないDM)
6例除外 16例(8例ずつ)
方法:麻酔後、開腹前 10分虚血、10分開放 3回施行
肝切除 プリングル阻血は施行せず 
評価:RIPCの安全性、肝機能(術前、肝切除直後、術後24時間後)、ICG試験(術前、肝切除直後)ICGPDR(plasma disappearance rate), ICGR15値を指で測定

結果:
背景:両群間の背景には差を認めない。
RIPC安全性:DVT、PEを術後発症した症例はなし
術後経過:両群とも術後死亡なし 術後肝不全なし 術後創感染(RIPC 2, Cont 1), 無気肺 4 :3, RIPCで1例肺炎 コントロールで1例腹腔内液体貯留 ドレナージ施行
Fig 3 ALT 肝切除後 ALT RIPC 497 vs Cont 889 有意にRIPCで低値
  肝切除後24時間 ALT RIPC 412 vs Cont 698 有意にRIPCで低値
ASTも同様にRIPCで低値
Fig 4
ICG PDR ベースは RIPC22, Cont 21で差はない。
肝切除直後 RIPC 16.5 vs Cont 11.1 有意にRIPCでクリアランスが高い
ICGR15 ベース RIPC 7.1 vs Cont 6.5
肝切除直後 RIPC 12.8 vs Cont 17.5 有意にICGR15 RIPCで低値であった。
組織学的な変化:両群に組織学的な差は認めない。

まとめ:
 RIPCは、通常の虚血-再灌流傷害を改善するが、老年マウスでも、同様に改善し、類洞機能を改善させていた。
 臨床では、まだ未知数であるが、脳死肝移植でも安全に行えたが、臨床データのでの優位性は認めなかった。大腸癌肝転移に対する葉切除では、肝切除直後、24時間後、有意に肝機能保護効果あり ICGクリアランスも改善していた。障害肝で、今後の検討が望まれる。


抄読会日高先生①

抄読会日高先生②

大学院セミナーを開催しました!!(Stephen Vincent Lynch教授 藤堂 省先生)

平成29年11月10日(金)、長崎大学病院の外来棟11階の第二外科カンファレンス室にて平成29年度第61回大学院セミナーを開催致しました。

オーストラリア ブリスベンより、Stephen Vincent Lynch教授をお招きし、「Liver transplantation in Australia and New Zealand」というテーマでご講演頂きました。聖マリア病院の藤堂 省先生からも、発言、講演、ディスカッションも頂きました。
オーストラリア、ニュージーランドでの肝移植の立ち上げから現在に至るまで、時折笑いもありながら、大変興味深い講演でありました。藤堂先生からは、現在の日本におけるアロケーションに対する意見を頂きました。
公演後の約1時間のDiscussionでは、1つ1つ丁寧にお答えいただきました。
講演会後は、懇親会にて親睦を深めました。学ぶべきことが多く、大変刺激的な会となりました。
Lynch教授、藤堂先生ありがとうございました。


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学位を取得しました!!(丸屋安広)

平成29年9月6日、H19年卒の丸屋安広先生が学位を取得されましたのでお知らせ致します。

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医局対抗バスケットボール大会(宮﨑杯)が行われました!

平成29年11月7日(火)、長崎大学医学部体育館にて医局対抗バスケットボール大会【宮崎杯】が開催されました!!結果は、8-10 でPTチームに惜しくも敗れてしまいました。
以下戦評です。


11月7日(火)医学科体育館で、PTチームとバスケットの試合を行いました!伊藤先生の華麗なドリブル、曽山先生の高身長を活かしたリバウンド、そして他病棟や県外組招集など、Team Surgeon All Starsとして“断固たる決意”で臨んだ試合ではありましたが、残念ながら8-10で惜敗となりました。しかしながらバスケ部員の話では、応援を含め最も盛り上がった試合だということでした!試合後は医局で次年度へ向けた反省会を兼ねて、ささやかな打ち上げをさせて頂きました。試合を動画で撮影しており、その動画を見ながら、「負けたことがいつか大きな財産になる。やっぱりバスケがしたいです。」と、気持ちを新たにした打ち上げとなりました。参加してくださった選手のみなさん、応援に来てくださったみなさん、お疲れ様でした!
文責:古賀洋一


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